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4年前、私はテレビ番組で知的障害者のバンドの存在を知った。
その名も”サルサ・ガムテープ”。 10代から50代までの幅広い年齢層の団員から成っていて、打楽器中心の音楽を演奏している。
テレビを見た瞬間、素晴らしい!と感激した。 バンドが形作られ、練習し、だんだんと音楽を演奏しているという形になり、一般向けにコンサートを開くまでのドキュメンタリーだった。
私は、知的障害者である彼ら、彼女たちを支えている裏方や、家族の姿、特に、お母さんたちに心を打たれた。 バンドを作ろうと言いだしたのは、ボランティアの人たちだった。
練習の風景がまたすごい。 突然走りだしたり、大きな声を張り上げたり、楽器の扱い方もメチャクチャだった。

もちろん、楽譜を読めないから、耳だけが頼りになる。 音を聞いて覚えるのだ。
頭でっかちになっている人たちには、とてもできない芸当である。 だが、彼ら、彼女たちはそうして音楽を覚え、時間をかけて演奏できるようになったのだ。
そして、お金を取って、一般の人たちに聴いてもらうコンサートを開くまでに、こぎつけたのだ。 大きな舞台で、いきいきと演奏し歌っている姿は、なんとも素晴らしいものだった。
そういうわが子の姿を見て、お母さんたちは舞台の袖で泣いていた。 その気持ちが私にはストレートに伝わってきた。
お母さんはそれこそ死に物狂いでその子を護り、育ててきたと思う。 人前で何かを披露できるまでになるなんて、想像もできなかっただろう。
しかし、目の前に音楽を披露している姿があるのだ。 私はその時に、このお母さんたちをもっと喜ばせてあげたい、心から喜んでほしいと思ったのだ。
なぜなら、舞台と客席の間に、妙にしっくりいかない溝を感じたからだ。 原因は、舞台の上の団員の、見た目にあった。
たとえば、眉毛にしても何の手入れもされていないから、ボサボサ。 ヘアスタイルもあまりにもシンプルで、年齢に合っていないのだ。

それがコンサート用の衣装と不似合いで、これでは同情される、と私は感じた。 入場料金を払って音楽を聴きにきたお客さんなのに、純粋に演奏される音楽に感動するのではなく、障害者がコンサートを開いたから見にきた、という感じに目的が変わってしまっては意味がない。
音楽を聴いてくれ!と演奏している舞台と、何かのチャリティーコンサートに参加している気分でいる観客とでは、その空気が違う。

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